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柔軟な働き方に関する検討会の資料を公表 副業・兼業などのガイドラインの案を示す

投稿日時:2018年01月16日

厚生労働省から、平成29年11月20日に開催された「第4回柔軟な働き方に関する検討会」の資料が公表されました。今回の議事は、「雇用型テレワーク、自営型(非雇用型)テレワーク、副業・兼業のガイドライン案等について」という内容で、次のようなガイドラインの案などが示されています。

●情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン(案)
●自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン(案)
●副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子(案)

特に注目されているのは、「副業・兼業」です。
副業・兼業については、厚生労働省のモデル就業規則の改定の方向性も示されており、労働者の遵守事項における副業・兼業に関する規定(「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」)を削除の上で、次のような条項を置く案が紹介されています。

・労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
・労働者は、上記の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

■副業・兼業の現状
(1)副業・兼業を希望する者は年々増加傾向にある。副業・兼業を行う理由は、自分がやりたい仕事であること、スキルアップ、資格の活用、十分な収入確保等さまざまであり、また、副業・兼業の形態も、正社員、パート・アルバイト、自営業等さまざまである。

(2)多くの企業では、副業・兼業を認めていない。企業が副業・兼業を認めるにあたっての課題・懸念としては、自社での業務がおろそかになること、情報漏洩のリスクがあること、競業・利益相反になることなどが挙げられる。また、副業・兼業に係る就業時間や健康管理の取扱いのルールが分かりにくいとの意見がある。

(3)副業・兼業自体への法的な規制はないが、厚生労働省が示しているモデル就業規則では、労働者の遵守事項に「許可なく他の会社等の業務に従事しいこと」いう規定がある。

(4)裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、それが労務提供上の支障となる場合、企業秘密が漏洩するなど企業秩序に影響が生じる場合、信頼関係を破壊する行為がある場合、競業に当たる場合とされている。

なお、副業・兼業時の就業時間の把握については、ガイドラインの骨子案において、「企業が労働者の自己申告に基づいて就業時間を把握し、長時間労働の抑制や健康管理に努める」といった方向性が示されています。

副業・兼業のモデル就業規則の改定の方向性などについては、報道機関も積極的に取り上げており、『検討会から意見を求められた有識者委員から、「企業が労働時間を管理することは不可能だ」などと、ガイドラインの骨子案の問題を指摘する意見が続出しており、労働者の安全確保で、本業と副業のどちらの企業が責任を負うかなど、現在の労働法制では不明瞭な点が多いとの声もあった』などと報じられています。

政府は、人手不足の対応や働き方改革の切り札として、テレワークや副業・兼業を推進したい構えですが、各企業の現場からみれば、いずれも管理が難しい制度で簡単に導入できるものではなさそうです。
詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 厚生労働省 ](http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000185391.html